30 Sept 2021

音楽理論(ミュージックセオリー)、どうして必要なの?

Q: 音楽理論(ミュージックセオリー)のクラスでは何をするのですか?

大雑把に言えば「楽譜の読み書き」を学びます。あまり意識されることがありませんが、クラシック音楽の演奏をおこなうためには、大きく分けて2つの力が必要です。まず第一に楽器を弾く技術的な能力です。それから、もう一つは楽譜を読み解く能力です。

クラシック音楽は、楽譜がコミュニケーションの中核にある音楽文化だと言うことができます。楽譜を介して人から人に、過去から現在へと音楽が伝えられてきたわけです。演奏する人は楽譜に書かれている事を読み解き、理解し、作者・作品の意図を汲み、それを主体的に解釈できる事が求められています。

ある文学作品を読み解くためには、まずは文字が読めなければ始まりませんが、それだけではおそらくまだ不十分でしょう。よく理解するためには、句読点等の記号、単語、文節、段落、書式、文法などの様々な知識が必要です。そのような知識を得たときに、ようやくスタート地点に立てるわけです。

それは、音楽の場合でも同様です、音楽作品を読み解くためには、まず様々な知識が必要です。音楽理論のレッスンでは、音符(ピッチ・音価)からはじまって、その他各種記号や音楽用語の意味、音階、音程、和音、移調などを、テキストブックに沿って学んでいきます。尚、現在当教室ではイギリスのグレードのカリキュラムに従って行っています(グレード1〜5=概ね楽典に相当)。グレード6以降は、通奏低音、和声、対位法などを含み、また希望によってジャズ理論、編曲等にも対応します。

レッスンは、英語と日本語を使ってすすめますが、音楽理論の歴史的性質上、必然的にイタリア語、フランス語、ドイツ語なども含みます。このようにいろんな言語を通して、音楽の世界のつながりとひろがりを実感できるのではないかとおもいます。



・セオリーレッスンの対象

音楽理論をはじめる年齢には特に下限を設けてはいませんが、算術を扱いますので、おそらく小学一年生(6歳)以上に適しています。

上限はもちろんありません。これから音楽を勉強したいという方だけでなく、すでに楽器を何十年もされている人もいらっしゃっています。長い間している人は、当然音符を読むこと自体にはなんの問題もありませんが、意外と知らなかったこと、見過ごしていたこと、新たな発見があるようです。

また、自分の教室を持って教えられているかたにも、もう一度楽典を復習したい、あるいは英語で知りたいなどの要望にお応えしています。


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27 Sept 2021

[ギター]トレモロ・アームという誤った呼び方


エレキ・ギターの中には「トレモロ・アーム」という器具がついているものがあります(写真の中の棒のようなもの)。トレモロアームは弦をベンドしてピッチを変化させる器具のことですが、実はこのトレモロアームというのは音楽的には誤った呼び方です。

トレモロ・アームという名前は、1954年にそれを初めて自社のギター(ストラトキャスター)に搭載したレオ・フェンダー(フェンダーギターの創設者)によって名付けられたのですが、実はレオ・フェンダーはトレモロとビブラートの概念を取り違えていたようです。

トレモロもビブラートも、どちらも音の周期的変化に関わる効果という点では共通するのですが、トレモロとは音量の変化、ビブラートとは音高(ピッチ)の変化という点が異なります。

トレモロ・ピッキングというテクニックがありますが、これは素早くピッキングを繰り返すということです、アタックを繰り返すことで音量の増減はありますが、音程の変化はありません。

一方でビブラートは、例えばギターの場合、弦を縦方向にベンド(曲げ)たり、横方向に引っ張ったりする等、色々なかけ方がありますが、こちらは音程に関する変化であって、音量の増減による変化ではありません(ギターの場合、音量はただ減衰していきます)。

尚、レオ・フェンダーは「トレモロとビブラートを取り違えた」と前述しましたが、フェンダーの作ったアンプにはvibrato(ビブラート)というエフェクトが搭載されています。しかし、こちらは音量の変化に関わるものですので、本当は逆にトレモロと呼ばれなければならない効果です。

「トレモロアーム」には、他にvibrato bar(ビブラート・バー)、またはwhammy bar(ワーミー・バー)のような呼びかたがありますが、そのような呼び方をするほうが一般的には誤解がないでしょう。


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23 Sept 2021

ピアノという名前の由来について

音楽を学びはじめると、わりと早い段階に、音の強弱に関する用語「フォルテ」と「ピアノ」を学びます。「フォルテ」は強く弾くこと、「ピアノ」は弱く弾くことを意味します*。

*ただし、イタリア語の「ピアノ」には「弱い」という意味は本来ありません。便宜上、日本語で一般的にひろまっている「弱い」という訳を採用しています。

この強弱記号の「ピアノ」と楽器の「ピアノ」、実は本来同じ言葉なのですが、意外とそれに気がつく人は少ないようです。それはおそらく当然で、弱いという音のイメージと楽器のピアノのイメージが結びつかないからなのでしょう。

ピアノという楽器は、1709年頃、バルトロメオ・クリストフォリ (Bartolomeo Cristofori di Francesco)というイタリア人によって発明されました。ピアノは最初からピアノと呼ばれていたわけではなく、発明者のクリストフォリ自身は「Gravicembalo col piano e forte」(グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ)と呼んでいました。

クリストフォリのピアノ

冒頭の単語、グラヴィチェンバロ(Gravicembalo)とは、当時弾かれていた鍵盤楽器の事です。この楽器は英語ではハープシコード、フランス語ではチェンバロなどと呼ばれています。ちなみにグラヴィチェンバロは外観は現代のピアノとさほど変わらないものの、内部の発音機構が異なっていて(弦を爪弾くことで発音する)、音の強弱を表現することができませんでした。

グラヴィチェンバロに続く部分「コル・ピアノ・エ・フォルテ」というのは、英語で言えば「with quiet and loud」、「弱音と強音をもつ」という意味になります。つまり「グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」全体では、「弱音と強音をもつ鍵盤楽器」のように訳すことができます。クリストフォリのこの発明の画期的な点、そしてそれまでの鍵盤楽器との大きな違いは、音に強弱の変化をつけれるようになったことでした。

そのあと、この長々しい名前は、短縮に短縮を重ねて「ピアノ」になり、もとの名前も意味も遡ることができないほど短くなりましたが、一方、元のイタリア語ではおもしろいことに、未だpianoforte「ピアノフォルテ」と呼ばれています。さすがは元言語という感じがします。


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