6 Oct 2021

(反復)練習をはじめる前に

レッスンで初めて取りあつかう曲を、レッスン前に入念に練習し、弾き込んでから持って来られる生徒がいらっしゃいます。巷には、練習もせずに先生に聞かせるなんて失礼だという考えもあるらしく、それはそれで立派な心がけといえるのかもしれないのですが、レッスンをする側からすれば、これは少し困ったことなのです。

運指などを含め、反復練習に入る前にはチェックしなければいけないポイントがあるのですが、それを自己流のおかしな方法でやってしまい、レッスンに持ってきた頃には、もう修正のしようがない、手のほどこしようがない状態になっているという事があります。

長期間にわたって頑張って練習すればするほど、修正するのは困難になります。真っ白なキャンバスに彩色するのは簡単で、綺麗な色がのりますが、もう色づけされているものを更に色付けするのは無理なのです。とても残念ですが、そういう場合は別の曲に取り組んだ方が良いかもしれません。

レッスンは出来上がったものを見る場ではなく、よい演奏をするためにどうすればよいかを考え、導く場だと思います。はじめてのレッスンでは、良い演奏へ導く練習の方向性が示されるものですので、何はともあれ、まずは弾きたい曲を持ってくるのがよいと思います。ある程度譜読みをしておくことは必要かもしれませんが、反復練習に入るのはすこし待った方がよいでしょう。


30 Sept 2021

音楽理論(ミュージックセオリー)、どうして必要なの?

Q: 音楽理論(ミュージックセオリー)のクラスでは何をするのですか?

大雑把に言えば「楽譜の読み書き」を学びます。あまり意識されることがありませんが、クラシック音楽の演奏をおこなうためには、大きく分けて2つの力が必要です。まず第一に楽器を弾く技術的な能力です。それから、もう一つは楽譜を読み解く能力です。

クラシック音楽は、楽譜がコミュニケーションの中核にある音楽文化だと言うことができます。楽譜を介して人から人に、過去から現在へと音楽が伝えられてきたわけです。演奏する人は楽譜に書かれている事を読み解き、理解し、作者・作品の意図を汲み、それを主体的に解釈できる事が求められています。

ある文学作品を読み解くためには、まずは文字が読めなければ始まりませんが、それだけではおそらくまだ不十分でしょう。よく理解するためには、句読点等の記号、単語、文節、段落、書式、文法などの様々な知識が必要です。そのような知識を得たときに、ようやくスタート地点に立てるわけです。

それは、音楽の場合でも同様です、音楽作品を読み解くためには、まず様々な知識が必要です。音楽理論のレッスンでは、音符(ピッチ・音価)からはじまって、その他各種記号や音楽用語の意味、音階、音程、和音、移調などを、テキストブックに沿って学んでいきます。尚、現在当教室ではイギリスのグレードのカリキュラムに従って行っています(グレード1〜5=概ね楽典に相当)。グレード6以降は、通奏低音、和声、対位法などを含み、また希望によってジャズ理論、編曲等にも対応します。

レッスンは、英語と日本語を使ってすすめますが、音楽理論の歴史的性質上、必然的にイタリア語、フランス語、ドイツ語なども含みます。このようにいろんな言語を通して、音楽の世界のつながりとひろがりを実感できるのではないかとおもいます。



・セオリーレッスンの対象

音楽理論をはじめる年齢には特に下限を設けてはいませんが、算術を扱いますので、おそらく小学一年生(6歳)以上に適しています。

上限はもちろんありません。これから音楽を勉強したいという方だけでなく、すでに楽器を何十年もされている人もいらっしゃっています。長い間している人は、当然音符を読むこと自体にはなんの問題もありませんが、意外と知らなかったこと、見過ごしていたこと、新たな発見があるようです。

また、自分の教室を持って教えられているかたにも、もう一度楽典を復習したい、あるいは英語で知りたいなどの要望にお応えしています。


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27 Sept 2021

[ギター]トレモロ・アームという誤った呼び方


エレキ・ギターの中には「トレモロ・アーム」という器具がついているものがあります(写真の中の棒のようなもの)。トレモロアームは弦をベンドしてピッチを変化させる器具のことですが、実はこのトレモロアームというのは音楽的には誤った呼び方です。

トレモロ・アームという名前は、1954年にそれを初めて自社のギター(ストラトキャスター)に搭載したレオ・フェンダー(フェンダーギターの創設者)によって名付けられたのですが、実はレオ・フェンダーはトレモロとビブラートの概念を取り違えていたようです。

トレモロもビブラートも、どちらも音の周期的変化に関わる効果という点では共通するのですが、トレモロとは音量の変化、ビブラートとは音高(ピッチ)の変化という点が異なります。

トレモロ・ピッキングというテクニックがありますが、これは素早くピッキングを繰り返すということです、アタックを繰り返すことで音量の増減はありますが、音程の変化はありません。

一方でビブラートは、例えばギターの場合、弦を縦方向にベンド(曲げ)たり、横方向に引っ張ったりする等、色々なかけ方がありますが、こちらは音程に関する変化であって、音量の増減による変化ではありません(ギターの場合、音量はただ減衰していきます)。

尚、レオ・フェンダーは「トレモロとビブラートを取り違えた」と前述しましたが、フェンダーの作ったアンプにはvibrato(ビブラート)というエフェクトが搭載されています。しかし、こちらは音量の変化に関わるものですので、本当は逆にトレモロと呼ばれなければならない効果です。

「トレモロアーム」には、他にvibrato bar(ビブラート・バー)、またはwhammy bar(ワーミー・バー)のような呼びかたがありますが、そのような呼び方をするほうが一般的には誤解がないでしょう。


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23 Sept 2021

ピアノという名前の由来について

音楽を学びはじめると、わりと早い段階に、音の強弱に関する用語「フォルテ」と「ピアノ」を学びます。「フォルテ」は強く弾くこと、「ピアノ」は弱く弾くことを意味します*。

*ただし、イタリア語の「ピアノ」には「弱い」という意味は本来ありません。便宜上、日本語で一般的にひろまっている「弱い」という訳を採用しています。

この強弱記号の「ピアノ」と楽器の「ピアノ」、実は本来同じ言葉なのですが、意外とそれに気がつく人は少ないようです。それはおそらく当然で、弱いという音のイメージと楽器のピアノのイメージが結びつかないからなのでしょう。

ピアノという楽器は、1709年頃、バルトロメオ・クリストフォリ (Bartolomeo Cristofori di Francesco)というイタリア人によって発明されました。ピアノは最初からピアノと呼ばれていたわけではなく、発明者のクリストフォリ自身は「Gravicembalo col piano e forte」(グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ)と呼んでいました。

クリストフォリのピアノ

冒頭の単語、グラヴィチェンバロ(Gravicembalo)とは、当時弾かれていた鍵盤楽器の事です。この楽器は英語ではハープシコード、フランス語ではチェンバロなどと呼ばれています。ちなみにグラヴィチェンバロは外観は現代のピアノとさほど変わらないものの、内部の発音機構が異なっていて(弦を爪弾くことで発音する)、音の強弱を表現することができませんでした。

グラヴィチェンバロに続く部分「コル・ピアノ・エ・フォルテ」というのは、英語で言えば「with quiet and loud」、「弱音と強音をもつ」という意味になります。つまり「グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」全体では、「弱音と強音をもつ鍵盤楽器」のように訳すことができます。クリストフォリのこの発明の画期的な点、そしてそれまでの鍵盤楽器との大きな違いは、音に強弱の変化をつけれるようになったことでした。

そのあと、この長々しい名前は、短縮に短縮を重ねて「ピアノ」になり、もとの名前も意味も遡ることができないほど短くなりましたが、一方、元のイタリア語ではおもしろいことに、未だpianoforte「ピアノフォルテ」と呼ばれています。さすがは元言語という感じがします。


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7 Jan 2021

ABRSMオンライン・グレード試験(セオリー&パフォーマンスグレード)

コロナ感染症の拡大によって一時ストップしていたグレード試験も、2020年8月のオンラインのセオリー(音楽理論)試験を皮切りに再開されています。音の木教室でも8月より既に何人もオンライン試験を受験してきました。最初は私達も初めてのことでいろいろ手探りではありましたが、今まで受験した生徒の全員が無事合格いたしました。ポイントさえ抑えておけば、むしろ通常の試験よりも概ね良い点数をとれているという感触があります。

セオリーに関しては、オンライン用に特化された質問形式が用意されました。10月になってようやくサンプルペーパーその回答例が出版されましたが、急いで作ったため?か回答に間違いがあるため、もし独学で受けようという方はお気をつけください。どちらが難しいとは言えないですが、今までよりも気をつけて問題を読む必要はあるかもしれません。受験する生徒と一緒に問題をときながら、音楽というよりは英語の試験だねと言っていました。

楽器のオンライン試験はパフォーマンスグレードと言って、演奏したものをビデオで撮影してアップロードするという方式になっています。提出するビデオは携帯等で録ればよいのですが、ビデオを撮ることになれていないかたは最初設定等で戸惑いがあるようです。詳しいとり方に関しては、Otonokiのyoutubeチャンネルに投稿してありますので、細かい点やご不明な点がある方は是非ご覧ください。

最初はセオリーの試験などでいろいろな問題も起こったようですが、次第に円滑に行われるようになってきたようです。ただ、試験結果や試験官からのフィードバックを読んでみると、大きな影響はないものの、採点されない対象であるはずの部分(とガイダンスに書いてある)への言及があるなど、まだ少し混乱も見られるようです。

対面式の試験とパフォーマンスグレードではフォーマットや内容が少し違うため、生徒によって向き不向きがあると思いますが、現在の状況だと突然のロックダウンや外出規制によって対面試験は突然中止されることがあります。その場合はロックダウン明けに試験が再開されるのをひたすら待つか、オンラインでの試験にスイッチするかになってしまいます。なので、しばらくはパフォーマンスグレードを念頭に進めておくほうが良いようです。


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3 Jan 2021

クリスマス・コンサート 2020

毎年、夏冬に大きなコンサートを行って来ましたが、今年は新型コロナウイルス感染症の蔓延による規制のため、結局年の最後まで会場が使うことができませんでした。その代わりとしてクリスマス・コンサートと称してオンラインでのビデオ・イベントを行いました。

オンラインで行うメリットは、 場所を選ばずにどこからでも参加できることですが、今回イギリス国内でレッスンを受けられている生徒だけでなく、帰国された方や他の国に移動されてしまった生徒、他につながりのある方にも声をかけさせていただきました。意外にもたくさんの反響があり、今回総勢で55人、冬のコンサートとしてはいつもより参加者の多い、大きなコンサートとなりました。

いままで帰国や移動した生徒の中には、その後手紙などを通してやり取りしている生徒もいましたが、このように映像を通してまた実際に演奏を聞けるというのは、私達にとってとても新鮮で、また楽しい経験でもありました。参加していただいた生徒の多くは、それぞれ新しい土地の別のお教室でレッスンを受けていらっしゃるようですが、皆さま随分成長されているように見えました。イギリスを離れてからもずっと音楽を好きでいて続けていらっしゃること、自分で弾きたい曲があって、教室に在籍されていたときのようにそれを気軽に持ち寄って弾いてくれる、それがなにより嬉しく思いました。

以前のように気兼ねなく集まったり、コンサートができるようになるまでは、まだ時間がかかりそうですが、音楽がその間の目標や助けになればなと思います。今年も頑張って行きましょう!


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5 Jun 2020

オンライン・ミニピアノコンサート

ロックダウンは少しづつ緩和されて来たとはいえ、まだまだ継続されるようです。演奏に使う会場・教会も開く予定もありませんので、毎年夏に行っていた発表会の開催も難しいでしょう。

先日オンライン・ミニピアノコンサートを行いました。ロックダウン中に練習した曲を各自動画に撮って、コンサートという名目で一本の動画にまとめ、共有しようというものです。私達にとっても実験的なもので、肩肘張らず気軽な参加をお願いしましたところ、日本とイギリス、はじめたばかりの生徒から、中学生まで意外と多くの生徒に参加していただけました。

意外と大きな反響があり、何度も何度も動画を繰り返し見たという生徒もいれば、他の人の演奏を見て急に練習をするようになった生徒もいるそうです。人の演奏、それも手の届かないようなプロの演奏ではなくて、同じようなレベルの生徒同士の演奏を聞くことは大事なんだなと思わされました。

ロックダウンにならなければ、オンラインでコンサートのようなことも考えなかったでしょう。もちろんこのような形でのコンサートが実際の発表会に取って代わるということではないと思いますが、すくなくとも他の人と自分のやっていることを共有できるひとつの場にはなりそうですし、モチベーションを保つのによい刺激となったようです。また、なによりも結構楽しく、ロックダウン中の良い思い出になったのではないかと思います。今回はピアノだけでやってみましたが、他の楽器も巻き込んでまた近々やってみたいとおもいます。



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