6 Jun 2018

練習しても完璧にはならない

しばらく前に話題になっていた、Eddie Wooさんというオーストラリアの数学の先生が、面白い動画を投稿されていましたのでご紹介させていただきます。

"Practice makes perfect", and other lies we believe about learning


Practice makes perfectとは英語のことわざで、日本語には「習うより慣れよ」「継続は力なり」などと意訳されることもありますが、要は練習を積み重ねていけば完璧になるということです。ところがWooさんはビデオの中で、それは嘘だと言っています。練習がつくるのは完璧さ(perfect)ではなく、単なる癖、あるいは習慣(Habit)だと言うのです。Wooさんは実に上手く説明しておられるので一度ビデオを見てみてください。

ある行動を何度も反復するうちに、思考無しに自動的にその行動ができるようになります。これが反復練習の正体であり目的です。訓練された音楽家が新しい楽譜を素早く読み、たった一度見ただけでもある程度弾けてしまうのは、それら行動のプロセスが過去にやった反復練習によって、自動化されているからです。

問題なのは、反復練習によって身につけられる癖が、音楽や身体にとって果たして本当に良いものなのか、悪いものなのかということは、脳自体は判断していないということです。悪い癖も良い癖も反復動作によって同じように身についていきます。反復を積み重ねれば積み重ねるほど癖は強固なものになりますから、修正するのはより困難になっていくのです。

色々な生徒を見ていると、多くの人にとっては練習が、単なるがむしゃらな反復作業になっているようです。勿論、反復練習は、何かを身につけるための大切なプロセスであるのは間違いありません。しかし、行っている内容をよく吟味せずに、ただ繰り返すというのは取返しのつかない結果をもたらすことがあります。よく独学で、Youtubeで、あるいは専門ではない友達に教えてもらっていたというような方が習いに来られることがありますが、悪い癖は一度身についてしまうと、修正するのはなかなか大変です。



3 May 2018

動画「エリック・サティ — シネマ」(鍵盤ハーモニカ合奏)

先日行った10周年記念コンサートからの動画、エリック・サティの「シネマ」をYoutubeにアップロードしました。元はオーケストラ曲で、作曲者によるピアノ版、ダリウス・ミヨーによる四手連弾版等もあります。今回は鍵盤ハーモニカ4パートに編曲しました。曲についての説明は前記事に少し書きましたので御覧ください。



— Otonoki Music School 音の木ピアノ&ギター・ウクレレ教室

25 Apr 2018

10周年記念コンサートを終えて

先日、教室の10周年記念コンサートを無事に終える事ができました。お忙しい中、来ていただいた皆様ありがとうございました。ケントの方から遠路はるばるお越し下さった方もいらっしゃったようです。そして出演者の皆様お疲れ様でした。

今回のコンサートでは生徒・関係者と演奏致しましたが、いつもの発表会とはちがった位置づけでした。したがって、プログラムも私たちの演奏したいもののなかでも、発表会などでは中々出来ないようなものを選びました。

プログラム:
第一部
  • (イントロダクション)ウェストミンスターチャイム (ピアノ四手連弾)
  • W. A. モーツァルト:魔笛 (ピアノ四手連弾、ナレーション付)
第二部
  • I. ストラヴィンスキー: Eight Instrumental Miniatures (鍵盤ハーモニカ合奏 4パート)
  • E. サティ:Nine Children’s Pieces — Childish Small Talk, A Child’s Quaint Ways, Tiresome Pranks (ウクレレ・ギター&ナレーション)
  • E. サティ:Cinema (鍵盤ハーモニカ合奏 4パート)

魔笛は、言わずと知れた、モーツァルトの生涯最後のオペラ作品です。今回は英語でのナレーションを挟みながら、全13曲で構成された4手連弾の編曲で演奏しました。各曲共に個性豊かなキャラクターに結びついているので、出演者はそれぞれ関連するキャラクターのコスチュームを着て演奏しました。

魔笛は、遠山にとって特に思い入れのある作品です。子供の頃、モーツァルトの楽曲が大好きでよく弾いていたのですが、ある時母に「アマデウス」というモーツァルトの伝記的映画を見に連れて行ってもらいました。その映画の中で魔笛の夜の女王が歌うシーンがあるのですが、それに衝撃を受けて以来、いつか弾いてみたいと思っていましたが、ついに今回プログラムに含めることができました。尚、後から聞いた話では、コンサートにいらしていたある一人の生徒が、例の夜の女王の曲をとても気に入ったらしくずっと歌っていたそうです。

ストラヴィンスキーのEight Instrumental Miniatureは、Les cinq doigtsというピアノ曲からのオーケストラ編曲(または再作曲)です。ストラヴィンスキーはLes Cinq Doigtsを作曲してから約四十年後、Eight Instrumental Miniaturesに編曲し直した際に、音をかなり追加し複雑化していますが、原曲では左右の手の各指をピアノの5つの鍵盤の上に置き、そこから動かさずに弾くという、大変シンプルなアイデアからつくられています。Les Cinq Doigtsとはフランス語で5本の指という意味です。

次くサティのNine Children’s Piecesも実は、Les cinq doigtsと同じアイデアに依っています。つまり、左右手各指をそれぞれピアノの定められた5つの鍵盤にあてがうということです。このような限定した書き方は他にもバルトークの作品等に見られます。右手左手の指5本づつ、つまり合わせてたったの10のピッチだけで作られているにもかかわらず、多彩な組み合わせや非凡な反復によって、決して飽きさせない構造になっているのはさすがです。Nine Children’s Piecesでは変化記号が一度も使われず、ピアノの白鍵のみ=C Major Scaleのセットで作られていますが、C Majorの調的な語法(終止法等)はほとんど避けられているために、古典的な音楽とはずいぶん違って聞こえます。Nine Children’s Piecesにはサティのその他の多くのピアノ曲と同様に、”風変わりな”テクストが添えられていますが、これを今回音楽とともに朗読(英語:原文はフランス語)しました。

終曲の Cinema は、モーツァルトにおける「魔笛」と同じように、サティの生涯最後の作品です。ダダの詩人、フランシス・ピカビアのRelâche というバレエの幕間に演奏される映画(シネマ)の伴奏音楽として作曲されました。ピカビアによるバレエと映画の台本には、プロットらしきものはまるでなく、ひたすらナンセンスなカットの連続になっています。この曲を聞くとまず、反復の異様な多さが耳につくかもしれません。魅力的なパターンが次々に登場しますが、各々は調的・動機的に、あまり前後の関連性は感じられません。そうしてバラバラの寄せ集めの音楽はドラマ性を、または内的表現性を剥ぎ取られて、音の色彩の庭に開放されます。サティは反ロマン主義の人でした。この曲はずいぶん昔、鍵盤ハーモニカとギターの二重奏をはじめたころに弾いていましたが、今回の鍵盤ハーモニカ合奏のために編曲しなおしました。

これらのプログラムは、今回の演奏者があってこそのものでした。二度と同じ音はつくれないだけでなく、おそらく同じプログラムを組むことも、この先もうできないと思います。

音楽は考えても、とにかく音を出してみないとわからない事だらけです。今回もまた、あたらしい発見がたくさんありました。皆さまのおかげで、良いコンサートができたと思います。本当にありがとうございました。今後とも音の木音楽教室をよろしくお願い致します。

モーツァルト&夜の女王と

ウクレレ、ギター&朗読

すてきな手作りカップケーキをいただきました!

魔笛より


19 Apr 2018

10周年記念コンサート

以前の記事にも書きましたが、2008年よりロンドンにて指導を始めて、今年で10周年をむかえました。これを記念して、私たち講師と生徒の一部、関係者といっしょに、コンサートを開催致します。

プログラムは、朗読とピアノ4手連弾によるモーツアルトの魔笛、子供達の語りとギター&ウクレレアンサンブルによるサティー、その他、鍵盤ハーモニカによるアンサンブルなど、普段の発表会とは違ったものをお届けします。

是非、ご家族やお友達を誘ってお越し下さいませ。

日程:4月21日(土)
時間:16時スタート
場所: St Mary at Finchley Church, 26 Hendon Lane, London N3 1TR
尚、駐車場は教会を通り過ぎてすぐの所にあるSt MaryのChurch Hall(St Mary at Finchley Parish Hall)にスペースがございます。


31 Mar 2018

Happy Easter!

ハッピー・イースター!近頃日が長くなり、だんだん春が近づいているのを感じます。イースター前に、ピアノの生徒の女の子が、とてもかわいい帽子をレッスンにかぶって来てくれました。お母様と一緒に作られたのだそうです。イギリスの学校ではハロウィン、クリスマスWorld Book Dayなどなど、オフィシャルに「コスプレ」をする機会が多いような気がします。準備される方は大変…かもしれませんが、見る方としてはいつも楽しいです。

6 Feb 2018

動画「瑶族舞曲(Dance of the Yao People)」(鍵盤ハーモニカ合奏)

鍵盤ハーモニカ合奏による「瑶族舞曲(Dance of the Yao People)」の動画をアップロードしました。瑶族舞曲は1952年に中国の作曲家、劉鉄山(Liu Tieshan)と茅沅(Mao Yuan)によって作られた曲で、20世紀に中国で作曲された管弦楽曲のうちでは最もよく知られ、最も人気のある作品の一つとなりました。元々は西洋楽器による管弦楽曲(オーケストラ曲)でしたが、その後、中国楽器による管弦曲、弦楽四重奏、バイオリンとピアノ、古箏による独奏など、大小様々な形式に編曲され、人々に親しまれています。ちなみに鍵盤ハーモニカ・アンサンブルへの編曲としてはこれが世界初の試みだと思います。曲のタイトルに含まれる、「瑶族」というのは、中国南部から東南アジア北部の山地等の広大な領域にわたって住んでいる少数民族(少数とはいえ、300万人以上いますが)の事であり、この曲はその瑶族の民謡にインスパイアされて作られたとのことです。

15年程前に、中国の音楽について調べていた際に、偶然にこの曲の存在を知って以来、弾いてみたい曲の一つになりましたが、なかなか機会もなく、条件も揃わず、15年経って今回(2017年)ようやく演奏できる運びとなりました(小嵐)。


 — Otonoki Music School 音の木ピアノ&ギター・ウクレレ教室

2 Feb 2018

動画「風のとおり道(Path Of The Wind)」(ウクレレ・ピアノ二重奏)

ウクレレ・ピアノの二重奏「風のとおり道(Path Of The Wind) 」をアップロードしました。「風のとおり道」はスタジオ・ジブリ製作の映画「となりのトトロ」で使われている、久石譲さんの作品で、子どもたちにとても人気のある曲の一つです。音の木音楽教室でも、過去のアンサンブルコンサートで一度、フルート・鍵盤ハーモニカ・ピアノの組み合わせの編曲で演奏した他、発表会でも度々ピアノ連弾等で弾かれています。

今回はお友達同士の生徒の演奏ですが、二人にとって難しすぎず、しかし簡単すぎず、ためになって、演奏効果がある編曲を目指しました。ウクレレもピアノも、どちらも人気のある楽器ですが、その合奏のレパートリーとなるとあまり無いようです。特に、ジャムセッションのように即興的に行われる事はあっても、室内楽的な(細部まで練り上げられた)作品、編曲作品となるとほとんど見当たりません。動画の中で演奏しているウクレレの女の子は初めてちょうど一年ですが、そんな子でも気軽に楽しく参加できて、なおかつ質も低くない、そういうレパートリーがこれから増えていくとよいですね。


一緒に音楽を楽しみませんか?— Otonoki Music School 音の木ピアノ&ギター・ウクレレ教室